2014年秋季沿岸海洋研究シンポジウム

沿岸高解像モデルの現在と未来(2)
物質循環と生態系の解明に向けて

計算機技術の急速な発展により、高い空間分解能で大気海洋相互作用まで考慮された数値モデル実験が可能となってきており、沿岸域においても細かい海岸線や 複雑な海底地形を踏まえた高解像度化が可能となっている。また、物理モデルの高解像度化を受けた沿岸域の物質循環や汚染物質の動態の把握、生物の分布拡散 に関する研究が急速に進展している。しかしながら、沿岸域の物質動態を考える上では、河川、地下水、大気、外洋域など系外からの物質供給、海底の複雑な酸 化還元環境、気象変動や人間活動による擾乱等、モデルに十分には組み込まれていない要素が多く残されている。また、生態系の再現においても、外洋域に比べ 多様な生物種が存在し微小なニッチが多数存在すること、汚染物質の流入や漁業など擾乱の影響が大きいこと、十分に高解像度の生物データが取得できないため 検証が困難などの理由により、物理モデル高解像度化の利点が十分には活用されていないといった問題がある。本シンポジウムでは、2014年度春季海洋学会 で行われた沿岸高解像物理モデルでの議論を受け、海洋物理モデルの活用による沿岸海洋過程のより良い理解に資することを目的として、最先端の沿岸域生物地 球化学・生態系モデルについて紹介するとともに、どのような問題点があり、改良されるべきなのかについての議論を行う。

主催:日本海洋学会沿岸海洋研究会
コンビーナ:速水祐一(佐賀大)・齊藤宏明(東大大海研)
日時:2014年9月17日 9:30 – 16:00
会場:長崎大学水産学部 4階 大講義室

会長挨拶(9:30-9:40)
趣旨説明(9:40-9:50):

座長:速水祐一(佐賀大)
1.黒潮内側域における冬季混合層の変動特性と栄養塩供給過程(9:50-10:20)
黒田寛(水研セ北水研)、高須賀明典(水研セ中央水研)、広田祐一(水研セ中央水研)青木一弘(水研セ中央水研)瀬藤聡(水研セ中央水研)
2.強流域における栄養塩供給(10:20-10:50)
長井健容(東京海洋大)
3.双方向ネスト太平洋モデルによる日本沿岸域の高解像度生態系モデリング(10:50-11:20)
坂本天(東大大気海洋研)・浦川昇吾(気象研)・羽角博康(東大大気海洋研)・伊藤幸彦(東大大気海洋研)・田中潔(東大大気海洋研)
4.有明海の貧酸素シミュレーション (11:20-11:50)
山口創一(九州大学)

-休憩(11:50-13:00)-

座長:齊藤宏明(東大大海研)
5.九州西部海域における赤潮時空間変動の把握(13:00-13:30)
青木一弘(水研セ中央水研)・鬼塚剛(水研セ瀬戸内水研)・清水学(水研セ中央水研)・黒田寛(水研セ北水研)
6.瀬戸内海の低次生産機構 (13:30-14:00)
吉江直樹(愛媛大)
7.有明海における浮遊系-底生系結合生態系モデリング(14:00-14:30)
永尾謙太郎(いであ)
8.沿岸生態リスク評価モデルによる東京湾における鉛はんだのリスクトレードオフ評価手法(14:30-15:00)
大野創介(水研セ東北水研),恒見清孝,川本朱美,石川百合子,堀口文男(産総研)
9. 東北沖底魚生態系の構造と水域間での比較 (15:00-15:30)
清田雅史(水研セ国際水研)・米崎史郎(水研セ国際水研)・成松庸二(水研セ東北水研)・服部努(水研セ東北水研)・伊藤正木(水研セ東北水研)

総合討論 (15:30-16:00)