沿岸海洋シンポジウム2025

主催:日本海洋学会沿岸海洋研究会
コンビーナ:羽角 博康、伊藤 幸彦、田中 潔(以上、東京大学)、松村 義正(国立環境研究所)
日時:2024年9月21日 (日)、10:00-17:00
場所:北海道大学函館キャンパス(第一会場)

沿岸海洋研究会会員(団体会員構成員や学生会員を含む)であれば、zoomによるオンライン参加も可能です(申し込みサイトは準備中)。

■趣旨

   陸域から沿岸海域へ輸送される水と物質は,沿岸海域の海洋環境や生物生産に大きな影響を及ぼす.一般に,河川水が淡水の輸送経路として支配的であり,多くの研究事例が存在する.ただし,集中豪雨に伴う河川増水など,近年頻繁に発生するイベントが沿岸海域に及ぼす影響についてはまだ理解が不十分であり,研究の発展が急務である.また,科学的な知識はこれまで不足していたが,近年の技術発展により,地下水が世界中の沿岸海域に多くの物質を供給していることが報告されている.海底地下水湧出による沿岸域への物質流入量は,しばしば河川水によるものを上回り,沿岸海域における物質の流入プロセスは再評価する段階にある.一方で技術的には,従来の数値シミュレーションモデルでは陸域からの水・物質の流入は境界条件として与えられてきた.しかし,近年になって,陸水域と海域を統合的に扱うモデルが開発されつつあり,水域環境の動態の新たな研究へと発展しつつある.本シンポジウムでは,個々の海域で行われている陸域から沿岸海域への水と物質の流入に関する最新の知見を共有し,新たな沿岸海域の動態研究の手法や物質循環の概念を構築するための議論を展開することを期待する.

■プログラム 

10:00-10:10 会長挨拶 磯辺 篤彦
10:10-10:30 趣旨説明 羽角 博康

10:30-11:00 「多重ネストモデルと粒子追跡手法を組み合わせた日本沿岸域の統合モデリングシステムの開発」
 松村 義正(国立環境研究所) 

11:00-11:30 「解像度2 km日本沿岸モデルを用いた平均沿岸滞留時間分布の推定」
 坂本 圭(京都大学)

11:30-12:00 「海水―堆積物境界における栄養塩輸送が沿岸海洋に果たす役割」
 中島 壽視(東京大学)

(12:00–13:30  休憩)

13:00 - 13:30 黒潮起源の暖水渦が北海道・噴火湾にもたらす水温上昇と酸素供給の強化」
 阿部 泰人(北海道大学)

14:00-14:30 「シミュレーションによる藻場由来炭素貯留量の推定」
 西川 悠(海洋研究開発機構)

14:30-15:00 「海洋炭素循環における河川の役割:栄養塩・炭素輸送の影響を探る」
 小林 英貴(富山大学)

(15:00-15:15 休憩)

15:15-15:45 「大気―海洋間の微量元素循環に対する人間活動の影響」
 栗栖 美菜子(東京大学)

15:45-16:15 「利根川―黒潮移行域の水塊形成と生物生産」
 伊藤 幸彦(東京大学)

16:15-17:00 総合討論